チリとスス

エアロゾルとバイオマスと環境について,考えたことをメモします。

半径と直径

先日,大学の同窓会があり,恩師Eにお会い出来ました。

そのときに,エアロゾルでよく使うStokes数の話をしました。

 

集じんなどの計算では,Stokes数はReynolds数と同じで,代表寸法は直径(繊維の直径)を取るのが普通だと思っていましたが,以前査読で「なぜ半径でないのか」という指摘を受けました。

 

Aerosol Technologyを参照すると,なるほど半径で書いてあります。確かAerosol Measurementでもそうなっていたような。しかし恩師Oの論文を見ると直径で定義してあり,混乱したので聞いてみたところ「無次元数の代表寸法は『代表寸法』でしかないので,それがどこの寸法かというのは個別に定義されるべき」という(うろ覚えですが)お話でした。

 

恩師Oの論文はもちろん英語でも出ていたので,それを引用して,問題なく通りましたが,同じ言葉で定義されるものが複数あるのは混乱のもとです。そこで恩師Eに聞いてみたところ「物理屋さんはね・・・理論計算などでは半径のほうが扱いやすいから」とのことでした。たしかに,理論式だと2という数字がどこかに入ってしまいます。しかし,実験では半径は直接測定できませんので,直径のほうが代表寸法としてしっくりきます。これは,工学と理学の文化の違いなのかもしれないと思いました。

 

恩師E,ぜひご健在のうちに教科書を書いて欲しいものです。エアロゾルに関する日本語の教科書には,どうにもしっくりくるものがありません。